おばあちゃん劇団 ほのお Theatrical company of Grandma「Flame」 脚本・演出・主演を手がける「劇団ほのお」代表、大石さきさん。 脚本はすべてオリジナル。 意地悪な嫁を演じて20年。頭の良さが光る安達みねさん。 毎日、陽が昇る前に起きて畑に出る。 「私は女優」紅林つねさん。 どんな時もまず人の和を考える、笑顔いっぱいの川口かづ江さん。 初代お父さん役の大畑せつさん。83歳で卒業した。 2代目お父さん役の松下とき子さん。 小柄な可愛らしさを生かして子役がはまる鈴木みゑ子さん。 ナレーターは大石さんの娘、読み聞かせで活躍する松田田鶴子さん。 ジャンボタクシーに荷物を乗せるのもひと苦労。さあ出発だ。 待てども来ない。女優が来ない。共演者を探す紅林さんと川口さん。 冬の定番、安達みねさんの車中みかん配り。 久し振りの東京公演で少し緊張ぎみ。 開演2時間前。 小学校の教室で、出演前のミーティング。 男性ボランティアさん達と、会場の設営について綿密に打ち合わせする。 脚本片手に説明する大石さん。 「はーい、こっちこっち」大石さきさんみずからが常に会場を取り仕切る。 女優さん達は大道具さんであり、小道具さんでもある。手伝いが欲しい時もある。 小道具の料理はお手のもの。劇団員が交替で作ってくる。 男性役の松下さんは夫のネクタイ持参。締めるのもお手の物。 本日の演目は「燃えろシルバー」。おじいちゃんメークに力が入る。 開演準備ほぼ完了。 公演に集まった人々にプログラムを配る。 押しかける観客。 おばあちゃん劇団は、あちらこちらに出向く。今日は近所の釜飯屋さんの舞台で。 中学校で。 老人センターで。 敬老の日のお祝いの会で。 身につまされたのか、ずっと手をにぎって真剣な目でみつめていた。 演目「家族」冒頭、家族揃って朝ごはんのシーン。食卓にはパンが並ぶがおばあちゃんは白米を食べたがる。 嫁の留守を狙って、近所に住む姑の友達が遊びにくるおなじみのシーン。おたがいの嫁の悪口大会が始まる。 嫁が大事にしているペットの犬を、嫁が留守の間に姑が蹴飛ばす。 幸せそうな家庭の主婦にも悩みはある…。 子育てが終わり、気ままな夫とわがままな姑の間でストレスがたまり、一升瓶をラッパ飲みする。 痴呆のお年寄りを演じる。 迫真の演技に観客の涙を誘う。 老いの孤独。老いの悲しみ。どうしようもならない体の衰えを演じる。 痴呆が進んだ上、寝込んだ姑の面倒を誰がみるのか夫婦で話し合うシーン。 憎たらしい姑だと思っていた嫁だったが、いつか自分も行く道だと悟る。 嫁に、ただ飯ぐらいの扱いをされ、落ち込んでいたおじいさんが、家族の心をつかむため、シルバー人材センターで働く決心をした。 25周年記念公演には、藤枝市民文化会館に入りきれないほどの観客が集まった。 公演を終えた楽屋。脱ぎかけたセーラー服に川口さんがちょっと照れ笑いする。 帰り際、「ありがとうございました」の声が聞こえる。 見えなくなるまで手を振り続ける。 いつだっって家族へのお土産は忘れない。ただでさえ重い荷物が…。 日帰りで広島公演に出かけた帰りの掛川駅。さすがに疲れた表情。 大正女の心意気、しんどい時でも弱音ははかない。 公演は多い時には年間35回。次回の打ち合わせにも力が入る。 日だまりに寝転んで脚本を考える大石さきさん。